大学生の女子。
何をしていてもあのことばかりを思い出してしまいます。
あの日、私は祖母と一緒に逃げました。
でも祖母は坂道の途中で
「これ以上走れない」と言って座り込みました。
私は祖母を背負おうとしましたが、
祖母は頑として私の背中に乗ろうとせず、
怒りながら私に「行け、行け」と言いました。
私は祖母に謝りながら一人で逃げました。
祖母は3日後、別れた場所からずっと離れたところで、
遺体で発見されました。
気品があって優しい祖母は私の憧れでした。
でもその最期は、体育館で魚市場の魚のように転がされ、
人間としての尊厳などどこにもない姿だったのです。
助けられたはずの祖母を見殺しにし、
自分だけ逃げてしまいました。
そんな自分を一生呪って生きていくしかないのでしょうか。
どうすれば償えますか。
毎日とても苦しくて涙が出ます。
助けてください。(A子)

何をしていてもあのことばかりを思い出してしまいます。
あの日、私は祖母と一緒に逃げました。
でも祖母は坂道の途中で
「これ以上走れない」と言って座り込みました。
私は祖母を背負おうとしましたが、
祖母は頑として私の背中に乗ろうとせず、
怒りながら私に「行け、行け」と言いました。
私は祖母に謝りながら一人で逃げました。
祖母は3日後、別れた場所からずっと離れたところで、
遺体で発見されました。
気品があって優しい祖母は私の憧れでした。
でもその最期は、体育館で魚市場の魚のように転がされ、
人間としての尊厳などどこにもない姿だったのです。
助けられたはずの祖母を見殺しにし、
自分だけ逃げてしまいました。
そんな自分を一生呪って生きていくしかないのでしょうか。
どうすれば償えますか。
毎日とても苦しくて涙が出ます。
助けてください。(A子)

自分を責め、
自分を恨む女子大生に心療内科の先生が掛けた言葉
自分を恨む女子大生に心療内科の先生が掛けた言葉
お手紙を読みながら涙が止まらなくなりました。
こんなに重い苦しみの中でどんなに辛い毎日かと思うとたまりません。
ただあなたは祖母を見殺しにされたと思っていらっしゃいますが、
私にはそうとは思えません。
おばあさまはご自分の意志であなたを1人で行かせたのです。
一緒に逃げたら2人とも助からないかもしれない、
でもあなた一人なら絶対に助かる。
そう判断したからこそ、あなたの背中に乗ることを頑として拒否したのでしょう。
おばあさまは瞬時の判断力をお持ちでした。
その判断力は正しくあなたは生き抜いた。
おばあさまの意志の反映です。
人はどんな姿になろうとも
外見で尊厳が損なわれることは決してありません。
たとえ体育館で転がされるように横たわっていても、
おばあさまは凛とした誇りを持って生を全うしたと思います。
おばあさまの素晴らしさは
あなたの中に受け継がれていることを忘れないで下さい。
おばあさまが生きていたらかけたい言葉、
してあげたいことを、周りに居る人たちにかけたり、
してあげて下さい。
そのようにして生き抜くことが
憧れだったおばあさまの心を生かす道に思えます。
心療内科の先生が、
医師としての回答だけではなく
女子大生の悲痛な気持ちを理解した上での回答が
とても好ましく思います。
「おばあさまの素晴らしさは、
あなたの中に受け継がれていることを忘れないで下さい」
という言葉に女子大生は励まされ、救われたことでしょう。
悲しみは決して消える事はないけれど、
この女子大生が心穏やかに過ごしていることを願います。
この震災で大勢の方が、深い悲しみを負ったことでしょう。
あれからもう少しで5年経とうとしていますが、
風化させることなく復興に向けて動いていけたらと思います。